「親の歩き方が少し不安定になった」「退院後、一人で暮らせるだろうか」。そんな変化に気づいたとき、介護の手配と同じくらい気になるのがお金のことです。

YOUR CONCERNS

こんな不安はありませんか?

  • 介護サービスには毎月いくらかかる?
  • 親の年金だけで足りなかったらどうする?
  • 仕事を続けながら、どこに相談すればいい?

まずは親が利用できる制度を確認し、本人の希望と家計に合わせて費用を見積もることから始めましょう。

子どもが一人で介護や支払いを引き受ける前に、相談できる窓口があります。

費用の「平均額」だけで決めず、
介護保険が使える費用と、別にかかる費用を分けて確認する。

この記事では、介護費用の目安、介護保険の申請、負担を軽くする制度、親と話し合う順番を整理します。

01

介護にはいくらかかる?調査の平均と見積もり方

生命保険文化センターの2024年度調査では、過去3年間に介護経験のある人が回答した費用の平均は次のとおりです。公的介護保険サービスの自己負担も含みます。

INITIAL COST / 一時費用47.2万円

住宅改修・介護用品などを含む調査平均

MONTHLY COST / 月々の費用9.0万円

在宅5.3万円・施設13.8万円という調査平均

項目 調査の平均 読み方
一時的な費用 47.2万円 住宅改修・介護用品などを含む
月々の費用 9.0万円 在宅は5.3万円、施設は13.8万円
介護を行った期間 55.0カ月 介護中の人は、調査時点までの経過期間

出典:生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(2024年度調査)。それぞれの平均値を掛け合わせても、一人あたりの実際の総費用にはなりません。親の状態、利用期間、地域、在宅・施設の別で変わります。

親の月額費用は4つに分けて見積もる

01介護保険の対象

訪問介護、通所介護、施設の介護サービスなどの自己負担

02介護保険の対象外

施設の食費・居住費、日常生活費など

03医療・生活の費用

通院、薬、交通費、家賃や光熱費など

04一時的な費用

住まいの改修や用具の購入など。保険対象となる場合は着手前に確認

見積書では「介護サービス費の自己負担」と「食費・居住費など」を分けてもらいましょう。複数の施設を比べるときも、月額表示に含まれない費用を確認できます。

施設の月額請求を分けて読む例

次は費用の区分を理解するための架空の例です。実際の施設料金や平均額ではありません。介護保険が適用されるサービス費を月20万円、親の負担割合を1割と仮定します。

MONTHLY COST / 架空の計算例

介護サービス 2万円+居住費 6万円+食費 4万円+生活費 1万円=月13万円

負担割合1割を仮定した内訳例。医療費・入居時費用などは含みません。

費用 仮の月額 確認すること
介護保険サービス費の自己負担 2万円 20万円 × 1割。負担割合証と対象サービスを確認
居住費 6万円 保険給付の対象外。部屋の種類や施設の契約で変わる
食費 4万円 保険給付の対象外。食事回数や契約条件を確認
日常生活費など 1万円 用品・追加サービスなどの内訳を確認
合計 13万円 医療費、入居時費用などは含まない

02

介護保険を使うまでの流れと自己負担

65歳以上の人は、介護が必要と認定されれば原因を問わず介護保険サービスを利用できます。40〜64歳の人は、介護保険上の特定疾病が原因で要介護・要支援状態となった場合など、対象に条件があります。

01

親の住所地の地域包括支援センターに相談する

いま困っていること、親の状態、同居・別居の状況を伝える。急な入院・退院の場合は病院の相談員や退院支援窓口にも相談する。

02

市区町村に要介護・要支援認定を申請する

訪問による認定調査と主治医意見書などをもとに判定される。申請に必要なものは自治体へ確認する。

03

ケアプランと費用の見積もりを確認する

認定結果に応じてケアマネジャー等に相談し、必要なサービス、利用回数、自己負担額を確認する。認定前に急ぎでサービスが必要な場合も、先に窓口に相談する。

介護保険が適用されるサービス費の自己負担は、所得に応じて1割・2割・3割です。在宅サービスには要介護度などに応じた利用限度額があり、限度額を超えた分は原則として全額自己負担になります。施設の食費・居住費・日常生活費も別にかかります。

DOCUMENT CHECKLIST

確認したい書類

  • 介護保険負担割合証
  • 認定結果
  • サービスの見積書
  • 施設を検討する場合は、食費・居住費・追加サービス費の明細

03

自己負担を軽くする制度を費用別に確認

「介護費の上限がある」と聞いても、すべての支出が上限に含まれるわけではありません。何に使える制度なのか、分けて確認しましょう。

SCHEME 01介護サービス費が高いとき:高額介護サービス費

同じ月の対象となる介護保険サービスの自己負担が、所得区分等に応じた上限を超える場合、超えた分が支給される制度です。施設の食費・居住費・日常生活費や、利用限度額を超えた分などは対象外です。対象額と申請方法は市区町村に確認してください。

SCHEME 02医療費も重なったとき:高額医療・高額介護合算制度

同じ医療保険の世帯で医療保険と介護保険の双方に対象となる自己負担がある場合、原則として8月から翌年7月までの1年間の合計額を基準に支給を判定します。医療保険の窓口などで、対象期間と申請先を確認しましょう。

SCHEME 03施設の食費・居住費が重いとき:負担限度額認定

介護保険施設や短期入所などを利用する人で、所得・預貯金等の要件を満たす場合、食費・居住費の負担が軽くなることがあります。有料老人ホームを含むすべての施設が対象になるわけではありません。入所を決める前に市区町村へ対象施設と申請方法を確認しましょう。

SCHEME 04自宅を整えたいとき:住宅改修・福祉用具の給付

手すりの設置や段差の解消、対象となる福祉用具の貸与・購入には、条件付きで介護保険を使える場合があります。住宅改修は工事を契約・着工する前にケアマネジャーや市区町村へ相談してください。

このほか、自治体や事業者による軽減措置が使える場合があります。利用できる制度は本人の所得、資産、世帯、利用サービスによって異なります。まず見積書を持って相談するのが確実です。

04

仕事と生活を守りながら介護を続けるには

親の支え方を考えるときは、家族の仕事や生活を続けられる体制も一緒に考えましょう。

抱え込まないための3つの確認

01家族の役割

通院同行、連絡、手続き、費用負担を誰がどこまで担うか、無理のない範囲で話し合う。

02外部サービス

訪問介護、通所介護、短期入所などについて、ケアマネジャーに利用可能な選択肢を聞く。

03勤務先の制度

介護休業や介護休暇、勤務時間の調整ができるか、人事担当者に相談する。

05

親と話しておきたいお金と暮らしのこと

最初から預金額を尋ねる必要はありません。「体調を崩したら、どんな暮らしを続けたい?」と本人の希望から話し始めると、必要な支援や予算を考えやすくなります。

01

暮らしの希望を聞く

自宅で暮らしたいか、どんな支援を受けたいか。希望は変わることもあるので、ときどき聞き直す。

02

毎月使えるお金を一緒に整理する

年金などの収入、家賃・住宅費、預貯金からどの程度支出できるか、本人の同意を得ながら確認する。不足が見込まれる場合は、家族内の負担を決める前に支援制度を相談する。

03

連絡先と手続きの方法を共有する

かかりつけ医、保険証の保管場所、緊急連絡先、相談窓口を確認する。通帳や印鑑の場所を知っていても、子どもが当然に本人の口座を使えるわけではありません。手続きが難しくなりそうなら、本人の意思を尊重して金融機関や専門窓口に早めに相談する。

06

まとめ|最初にできる3つのこと

ACTION CHECKLIST

今日からの順番

  • 親の住所地を担当する地域包括支援センターの連絡先を控える。
  • 親が望む暮らしと、介護に使える収入・資金を本人と話し合う。
  • 介護が必要になったら認定を申請し、サービス費と食費・居住費を分けた見積もりを取る。

費用の平均は参考になりますが、実際に必要な金額は一人ひとり違います。公的制度を確認してから家族の支え方を決めれば、無理な立て替えや急な離職を避ける選択肢も見えてきます。

07

公式情報・調査資料

制度や負担区分は変更される場合があります。以下を確認したうえで、個別の適用は親の住所地の市区町村や地域包括支援センターにお尋ねください(2026年9月確認)。

※この記事は一般的な制度の案内です。介護保険の認定、サービスの対象、自己負担や軽減制度の要件は、本人・世帯の状況と自治体によって異なります。個別の費用は市区町村とサービス提供者に確認してください。

親の費用と、自分の家計を一緒に整理する

まず親の住所地の地域包括支援センターで、使える介護サービスと負担軽減を確認しましょう。そのうえで、自分の貯蓄・住宅費・働き方との両立を数字で見たい場合は、家計相談先も比較できます。

FP相談は介護認定や公的制度の適用判断を代行する窓口ではありません。親のお金を本人の同意なく動かす前提で相談を進めず、扱える相談範囲と商品提案の有無を確認してください。


40代女性向け無料FP相談3選を比較する