「エンディングノートを買ったけれど、最初のページが白紙のまま」

「医療や相続のことは、まだ何も決められない」

エンディングノートは、全部を埋めて完成させる書類ではありません。40代・50代なら、もしものときに必要な連絡先と、これから自分がしたいことを一冊に少しずつ書いていくところから始められます。

こんなところで止まっていませんか?

資産や医療の欄が難しく、最初から書けない。
家族に何を知らせて、何を自分だけのメモにするか迷う。
希望が変わったら書き直せるのか気になる。

最初の一ページに必要なのは、
立派な結論より、今の自分が伝えたい一つのこと。

この記事では、最初に書きやすい3項目と記入例、医療・資産についての書き方、ノートの保管と更新の方法を紹介します。

この記事でわかること
  • 40代・50代からノートを作るときの考え方
  • 最初の10分で書ける項目と、その記入例
  • 医療・ケアの希望を一人で決めつけない書き方
  • 財産の所在とパスワードの安全な扱い方
  • 保管場所、共有相手、更新する日の決め方

エンディングノートは何のために書く?

自分が入院したり、意思を伝えにくくなったりしたとき、周りの人が最初に必要とするのは連絡先や手続きの手がかりです。ノートは、それらの情報と自分の気持ちを整理するのに役立ちます。

01

万が一の連絡を助ける

連絡してほしい人、かかりつけの医療機関、家族に知らせたいことを確認できます。

02

今の希望を見える形にする

暮らしや仕事で大切にしたいことを書けば、将来の選択を考える材料になります。

エンディングノートは、財産の分け方を法的に指定する遺言書とは異なります。遺産の分け方について法的効力を持たせたい場合は、要件を満たす遺言書など別の方法を確認しましょう。

最初の10分は「3つの項目」だけ書く

最初から病気や相続の欄を埋める必要はありません。ノートのどのページからでも、次の3項目なら始めやすくなります。

01

緊急時に連絡してほしい人

名前、本人との関係、連絡方法を書きます。電話番号は変更されるため、最後に確認した日も添えましょう。

02

日常生活で必要な情報の場所

健康保険関係の書類、服薬情報、普段使う銀行の資料などの保管場所を記します。全部の番号を書き写す必要はありません。

03

これから大切にしたいことを一つ

「毎年家族に会う」「旅に出る」「体調に合う働き方を考える」など、今の気持ちを一行書きます。

最初のページの記入例(架空)

記入日・確認日:2026年○月○日/次は誕生月に確認
緊急時の連絡先:妹 ○○/電話番号は連絡先カードに記載
書類の場所:医療・保険関係は自宅の書類ケース
今は決めていないこと:医療・財産については家族と相談してから更新
これから:来年は休みを取って行きたかった場所へ行く

書けない欄は空けたままで大丈夫です。市販のノートを買わなくても、手持ちのノートや紙から始められます。

医療・介護の希望は「大切にしたいこと」から

医療の項目を見て、「延命治療をする・しない」を今すぐ選ばなければと思う必要はありません。病気や治療の状況によって選択肢が異なるため、まずは自分がどんな生活や関わりを大切にしたいかを書きましょう。

書き始めるための問い
  • 大きな病気になったとき、誰と相談したい?
  • 自分で説明を聞けないとき、何を大切にして判断してほしい?
  • 自宅や病院など、過ごす場所について気になることは?
  • 今は決められないことや、医師に聞いてから考えたいことは?

書き方の例:「できるだけ苦痛を和らげたい。治療の選択肢は、そのときの状態を医師から聞いたうえで、妹と相談して考えたい」。今の考えと、まだ決めていないことを一緒に書けます。

厚生労働省は「人生会議」として、望む医療やケアについて家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有することを案内しています。ノートの一文だけで、将来の治療が自動的に決まるわけではありません。希望が変わったら書き直し、話した相手や日付も残しておきましょう。

財産・デジタル情報は「所在」を中心に

銀行口座、保険、証券、ネット上の契約などは、家族が存在を知らないと問い合わせ先を探すところから始まります。最初のノートには、契約先と書類の場所を記すだけでも手がかりになります。

項目 書いておくと役立つこと 注意したいこと
金融機関 銀行・証券会社名、口座資料の保管場所 暗証番号をノートに並べて書かない
保険・住宅など 保険会社名、証券や契約書の場所 最新の契約内容を別途確認する
スマホ・サブスク 通信会社、契約サービス名、請求元 アプリの削除だけで解約済みと思わない
残したいデータ 写真の保存場所、渡したい相手 私的なデータとの区別と共有範囲を考える

パスワードの「ヒント」をノートに書く方法も、他人に推測されるおそれがあります。契約一覧と認証情報は分けて管理し、引き継ぐ必要があれば各サービスの公式な手続きや安全な保管方法を確認しましょう。

「万が一」と一緒に「これから」も書く

緊急時の情報だけでは、ノートを開くのが重く感じるかもしれません。これからの暮らしで大切にしたいことも、自分のために書いておきましょう。

これからのページに書くこと
  • 行きたい場所、会いたい人、始めてみたいこと。
  • 仕事や働く時間をどう変えたいか。
  • 家族・友人とどんな時間を過ごしたいか。
  • 手放したい習慣と、続けたい習慣。

「今年は週に一度、早く仕事を切り上げる」のように、今できる小さなことでも構いません。このページは家族に見せるためではなく、自分自身が読み返すためのものとして分けておいてもよいでしょう。

保管・共有・更新で困らない3つの工夫

01

見つかる場所に、見せる範囲を考えて保管する

ノートをしまった場所は信頼できる人に伝えます。連絡先など急ぎで必要な情報は取り出しやすくし、財産や私的な記録は見せる相手を考えて別に保管する方法もあります。

02

書いた日と更新した日を記す

連絡先、契約先、医療についての考えは変わります。誕生月など年に一度見直す日を決め、変更した箇所には日付を添えましょう。

03

大切な希望は会話でも伝える

「このノートに連絡先を書いたよ」と存在を知らせ、医療やケアについての希望は信頼できる人と話しておきます。書いたことを、必ずしもすべて家族に公開する必要はありません。

ノートは必要になったときに見つかることが大切です。一方で、家族全員が自由に読める場所に置く必要もありません。自分が安心できる保管方法を選んでください。

参考になる公的情報

まとめ|まず一行だけ書いてみる

エンディングノートは、決められないことを無理に決めるためのものではありません。今の連絡先や情報のありかを書き、自分がこれから大切にしたいことを考えるためのメモとして使えます。

最初の一ページに書くこと
  • 緊急時に連絡してほしい人。
  • 医療・保険など必要な書類の保管場所。
  • これから楽しみにしていることを一つ。

今日、紙を一枚用意して、日付と連絡してほしい人の名前だけ書いてみてください。続きは、書きたくなったときで大丈夫です。

※本記事はエンディングノートの一般的な活用方法を紹介しています。ノートは遺言書や医療・介護に関する正式な手続きを代替するものではありません。相続や財産の分け方は法律の専門家、医療・ケアの方針は医療・ケアチームと相談してください。

NEXT STEP

財産の分け方を正式に残したいなら

ノートは気持ちや情報の所在を伝えるためのものです。財産の分け方に法的な効力を持たせたい場合は、遺言書の方式と、作成を支援する専門家・サービスの対応範囲や費用を確認しましょう。

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