親が亡くなると、
深い悲しみの中でも、
次々と現実的な手続きを進めなければなりません。

死亡届。
葬儀。
年金や保険。
銀行口座。
相続人の確認。
財産調査。
相続放棄。
不動産の名義変更。
相続税。

こんな不安を感じるのは自然なことです

「何から始めればいいの?」
「期限がある手続きはどれ?」
「銀行や不動産は、いつ動けばいい?」
「借金があったらどうすればいい?」

相続手続きは、
すべてを一度に終わらせる必要はありません。

大切なのは、
「今すぐ必要なこと」と「期限までに進めること」を分けることです。

親が亡くなった直後は、
「全部やる」ではなく、
「期限の近いものから順番に」。


手続きの全体像を知っておくだけでも、
いざというときの混乱は大きく減らせます。

この記事でわかること
  • 親が亡くなった直後に行うこと
  • 相続手続きを時系列で進める流れ
  • 3か月・4か月・10か月など主な期限の考え方
  • 遺言書・相続人・財産を確認する順番
  • 借金がある場合に注意したい相続放棄
  • 銀行・不動産・証券などの名義変更
  • 相談内容ごとの専門家の選び方

まずは全体像|相続手続きの時系列

相続手続きで最初に知っておきたいのは、
期限があるものと、期限が決まっていないものが混在していることです。

時期の目安 主な手続き
亡くなった直後 死亡診断書、死亡届、火葬・葬儀、関係者への連絡
できるだけ早く 遺言書確認、相続人調査、財産・借金調査
原則3か月以内 相続放棄・限定承認の検討
原則4か月以内 必要に応じて準確定申告
遺産分割後 預金・証券・不動産・自動車などの名義変更
原則10か月以内 相続税の申告・納税
最初から「遺産分割」へ進まない

まずは遺言書、相続人、財産・借金を確認します。
誰が相続人なのか、借金はいくらあるのかが分からないまま
財産を分け始めると、後からやり直しになることがあります。

亡くなった直後に行うこと

亡くなった直後は、
相続より先に必要になる手続きがあります。

まず行うこと
  • 死亡診断書または死体検案書を受け取る
  • 死亡届を提出する
  • 火葬許可に関する手続きを行う
  • 葬儀・火葬の日程を決める
  • 勤務先・親族など必要な相手へ連絡する
死亡診断書はコピーを取っておく

その後の保険・年金・勤務先などの手続きで
写しが必要になる場合があります。
原本を提出する前に、必要に応じて複数部コピーしておくと安心です。

葬儀会社が死亡届や火葬に関する手続きを
サポートしてくれる場合もあります。
一人ですべて抱え込まず、
任せられる部分は確認しながら進めましょう。

1.遺言書の有無を確認する

相続手続きを始める前に、
まず確認したいのが遺言書です。

遺言書がある場合、
原則としてその内容を確認しながら
相続手続きを進めます。

01

公正証書遺言

公証役場で作成された遺言。
家庭裁判所の検認は不要です。

02

自筆証書遺言

自宅などで保管されているものは、
原則として家庭裁判所で検認が必要になります。

03

法務局保管の自筆証書遺言

法務局の遺言書保管制度を利用している場合は、
検認が不要です。

封印された遺言書を勝手に開けない

家庭裁判所での検認が必要な遺言書については、
自分で開封せず、
必要な手続きを確認してから進めましょう。

2.相続人を確認する

次に、
誰が相続人になるのかを確認します。

相続人を確定するためには、
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍類を
集めて確認するのが一般的です。

01

配偶者

法律上の配偶者は、
原則として常に相続人になります。

02

子どもなど

子どもがいる場合は、
原則として子どもが相続人になります。

03

父母・兄弟姉妹など

子どもがいない場合などは、
一定の順位に従って父母や兄弟姉妹などが相続人になることがあります。

相続人は「思い込み」で決めない

知らなかった子どもがいたり、
代襲相続が発生したりすることもあります。
遺産分割協議へ進む前に、
戸籍で正式に確認することが大切です。

3.財産と借金を調べる

相続では、
プラスの財産だけではなく、
マイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。

プラスの財産 マイナスの財産
現金・預貯金 住宅ローン・借入金
土地・建物 カードローン
株式・投資信託 未払い金
生命保険金など 保証債務など
自動車・貴金属など その他の債務
財産調査の手がかり
  • 通帳・キャッシュカード
  • 証券会社からの郵便物
  • 固定資産税の納税通知書
  • 保険証券・保険会社からの書類
  • クレジットカードの利用明細
  • ローンや借入に関する契約書
  • スマートフォン・メール内の契約情報


「財産はいくらあるか」だけでなく、
「借金はいくらあるか」まで確認して初めて、
相続するかどうかを判断できます。

4.相続放棄を検討する

借金が多い場合や、
相続したくない事情がある場合には、
相続放棄を検討することがあります。

相続放棄には期限があります

相続放棄は、
原則として自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、
家庭裁判所へ申述する必要があります。

3か月は、
葬儀や各種手続きに追われていると
あっという間に過ぎます。

財産を処分する前に確認する

相続財産を処分した行為などによっては、
相続を承認したものとして扱われる可能性があります。
放棄を検討している場合は、
財産を動かす前に専門家や家庭裁判所へ確認する方が安全です。

5.必要なら準確定申告を確認する

亡くなった親に
確定申告が必要な所得があった場合などは、
相続人が代わりに
準確定申告を行うことがあります。

期限の目安

原則として、
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

すべての人に必要な手続きではありません。
事業所得、不動産所得、一定の給与・年金以外の所得などがある場合は、
申告の必要性を確認しましょう。

6.遺産分割協議を行う

遺言書で財産の分け方が決まっていない場合などは、
相続人同士で
誰がどの財産を取得するか話し合います。

01
相続人を確定する

戸籍を確認し、話し合いに参加する人を確定します。

02
財産の全体像を確認する

預金、不動産、株式、借金などを一覧にします。

03
分け方を話し合う

相続人全員で、誰が何を取得するかを決めます。

04
遺産分割協議書を作る

合意内容を文書に残し、必要な手続きへ進みます。

相続は、
「法定相続分どおりに分ける」だけが答えではありません。
家や預金など、財産の性質も見ながら
家族で現実的な分け方を考えます。

7.預金・不動産などの名義変更を行う

財産の取得者が決まったら、
それぞれの財産について名義変更や解約などを行います。

01

銀行口座

金融機関ごとに必要書類を確認し、
解約や相続人への払戻しを進めます。

02

証券口座

株式・投資信託などは、
相続人側の証券口座への移管などの手続きが必要になることがあります。

03

不動産

土地・建物を相続した場合は、
相続登記を行い名義を変更します。

04

自動車・契約

自動車、携帯電話、公共料金、各種契約なども
必要に応じて変更・解約します。

不動産の相続登記には期限があります

不動産を相続した場合の相続登記は義務化されています。
実家や土地がある場合は、
「あとでいい」と放置せず、早めに司法書士や法務局へ確認しましょう。

8.相続税の申告を確認する

相続税は、
財産を相続したすべての人にかかるわけではありません。

まずは、
遺産の課税価格の合計額が
基礎控除を超えるかを確認します。

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば法定相続人が3人なら

3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

申告期限は原則10か月以内

相続税の申告・納税は、
原則として
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

不動産、生命保険、株式、過去の贈与などがあると、
預金だけを見た金額と
相続税上の財産額が異なることがあります。

税額0円でも申告が必要な場合がある

配偶者の税額軽減や
小規模宅地等の特例など、
申告を要件とする制度を利用する場合があります。
「税金がかからない=申告不要」と決めつけないことが大切です。

相続手続きで集める主な書類

相続手続きでは、
同じような書類を複数の窓口で求められることがあります。

よく使う書類の例
  • 亡くなった人の戸籍・除籍・改製原戸籍
  • 相続人の戸籍
  • 住民票・戸籍の附票
  • 印鑑登録証明書
  • 遺言書
  • 遺産分割協議書
  • 固定資産税関係書類
  • 預金・証券・保険などの残高や契約資料

戸籍を何度も提出する場合は、
法定相続情報一覧図を活用できるケースもあります。
銀行・登記など複数の相続手続きを行う場合は、
利用できるか確認してみましょう。

相続手続きで困ったら、内容に合う専門家へ

相続は、
「全部を同じ専門家に相談する」というより、
困っている内容に合わせて相談先を選ぶのが基本です。

相談先 主な相談内容
税理士 相続税の計算・申告・税務上の特例
司法書士 不動産の相続登記・名義変更
弁護士 遺産分割でもめている場合・法律上の紛争
行政書士 一定の相続関係書類の作成など
早めに相談したいケース
  • 借金がある・借金額が分からない
  • 相続放棄を検討している
  • 相続人同士で意見がまとまらない
  • 実家や賃貸不動産がある
  • 財産額が相続税の基礎控除に近い
  • 過去の贈与や名義預金がある

まとめ|親が亡くなったら「期限の近いもの」から整理する

親が亡くなった後は、
悲しみの中で多くの手続きを進めることになります。

だからこそ、
全部を覚えようとする必要はありません。

STEP
01

亡くなった直後の手続きを行う

死亡届、火葬、葬儀などを進めます。

STEP
02

遺言・相続人・財産を確認する

相続の土台となる3つを先に整理します。

STEP
03

3か月・4か月の期限を確認する

相続放棄や準確定申告が関係するかを確認します。

STEP
04

遺産分割と名義変更を進める

相続人全員で分け方を決め、財産の手続きを進めます。

STEP
05

10か月以内の相続税を確認する

基礎控除を超えるか、特例の申告が必要かを確認します。

相続は、
一度に全部終わらせるものではありません。
順番と期限を知り、
一つずつ進めていけば大丈夫です。

免責事項
本記事は、相続手続きに関する一般的な情報をわかりやすく紹介することを目的としています。
手続きの要否や期限、必要書類は個別の事情によって異なる場合があります。
相続放棄、遺産分割、相続登記、相続税などについて判断が難しい場合は、
家庭裁判所・法務局・税務署などの公的機関の最新情報を確認し、
必要に応じて弁護士・司法書士・税理士などの専門家へご相談ください。

START FROM 39

相続は、起きてからではなく「元気なうち」に整えておく

実家、預金、保険、相続人、介護。

親が元気なうちに少しずつ確認しておくだけで、
いざというときの家族の負担は大きく変わります。

Start From 39では、
家族・相続・終活について、
「今からできる準備」
をわかりやすく紹介しています。

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